
近年の緑化事業では、生物多様性保全の観点から、地域の植物を利用し、周辺の自然環境と調和した植生を復元することが求められています。
マザーソイル工は、施工予定地やその周辺から採取した森林表土を使用し、その中に含まれる埋土種子集団(表土シードバンク)によって、現地の植物による植生を復元する、地域生態系の保全に配慮したのり面緑化工です。
森林表土には色々な植物の埋土種子が含まれています。埋土種子は、現地に自生する植物から散布されたもので、中には、数十年にわたり土の中で休眠しているものもあります。そのため緑化に使う森林表土は、一年を通じていつでも採取可能であり、また1年以上保管しても発芽力が失われないことが知られています。
マザーソイル工に代表されてる森林表土利用工は、種子を用いない自然侵入促進工に比べ、より速やかな緑化が可能です。また種子の供給現となる植生が周辺にみられない場合にも適用することができます。表土に含まれる埋土種子により、数多くの種類からなる植生が成立することから、生物多様性保全の観点からも優れた緑化手法といえます。
マザーソイル工は、専用の植生基材に森林表土を配合して吹付施工する「マザーソイル工法」、現地発生材である伐採木チップを活用する「資源循環型マザーソイル工法」と、現地で作成した表土袋を植生マットに装着して施工する「マザーソイルマット工法」の三つの工法をラインナップしています。